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ゴンサロ・チリーダ GONZALO CHILLIDA

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セルヴァンテス・インスティトゥトで、ゴンサロ・チリーダ(1926-2008)の展示会のオープニング・レセプションに参加した。彫刻家のエドゥアルド・チリーダは、20世紀彫刻の巨匠として知られているが、その弟ゴンサロ・チリーダはそれほど知られていない。サンセバスチャンの大自然を抽象画として描いた画家で、世界的に有名ともいえないが、その絵画を見てみれば、素晴らしい画家である。彼の抽象画は日本人の心をどのようにとらえるのだろうか。

レセプション前のセミナーでは、アリシア・チリーダさんからゴンサロの紹介と、昭和女子大学特任教授、木下亮先生のよる、ゴンサロの生まれ育った環境とその時代背景、時を同じくして活躍した芸術家の紹介がなされた。ゴンサロは、内戦直後から活躍した芸術家であった。王家の静養地でもあったサンセバスチャンの美しい自然に囲まれた場所で生まれ育ったゴンサロは、コンチャロ湾近くで大自然の中で鱒釣りしたり、自然を写真に収めたりとごく自然をみつめていた人だった。兄はスペインが誇る彫刻家の巨匠エドゥアルド・チリーダ。その兄と比較すると、ゴンサロは作品作りに熱心であったものの、謙虚であまり作品を世に出す取り組みを行わなかったのが、今でもあまり知られていな理由だという。木下先生によると、ゴンサロは、幾何学的抽象画とは反対の叙情的抽象画と呼ばれる抽象表現に開花し、海、砂、空を風景画ではなく、ひとつの大自然ととらえてその美を描写していった。ある時は空が砂であり、砂が空で、海が空であるように。公開されていた友人のコメントの映像にあったように「彼は、自然の翻訳者であった」というのが腑に落ちた。何とも言えない、この一帯の美しさを彼は抽象画として表現したのだ。

淡い色彩、光る太陽の光線、静かに響く波の音、水に触られる砂の黄金、これらを景色としてではなく、ひとつの自然美として描き、魅了させる。自然を神的なものとして崇める日本人にとって、彼の描く壮大な自然描写は、心をとらえて離さないものになるに違いない。

2023年1月15日まで

インスティトゥト・セルバンテス

ゴンサロ・チリーダ展レセプションセレモニーで、キュレーターであるアリシア・チリーダさんを囲んで
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